入社あいさつで辞める発言⁉
入社あいさつで辞める発言⁉
刺激的だった大学生活が終わっても、波乱万丈の展開が私を待っていました。
バブル末期の1991年、第一志望の株式会社アシックス入社
志望理由は「自分一人でひとつのモノづくりができそうな企業」という理由でした。
当時の理工学部卒業生には、大手機械メーカーや自動車などが人気の就職先でした。
しかし私は、規模が大きすぎる会社では歯車の一つで終わりそうな気がしたのです。
「ひとつの部品担当だけで一生終わるような仕事はイヤ。全体をコントロールしたい。社長にもなりたい!」という生意気な気持ちで、当時の流行りの重工業や自動車、電気は避けました。
アシックスを選んだ理由は、バスケットをはじめとしたスポーツが大好きだったこと。
そしてスポーツ企業でアシックスだけが自社の研究所を持ち、本気で科学的に取り組んでいたからです。
私の希望は、アシックスのスポーツ工学研究所でした。
予想もしない方向へ
3月中旬に男女合わせて50名ほどが入社し、2週間ほど研修施設で泊まり込み研修を行いました。
さすが体育会系という内容で、朝は走って体操をして、社歌斉唱だったりマナー教育があったりと盛りだくさんで大変でした。
今思えば新入社員にそれほど投資してくれた鬼塚会長や会社には大変感謝しています。
研修最終日の配属発表前に、「この中で一人だけ韓国に飛ばされる」という噂が同期の中で広まりました。
研究所志望の理系人間ですから「俺は関係ない」と勝手に思っていました。
が、見事に海外要員に指名され、ショックを受けました。
「え~、研究させてくれないの〜」茫然自失です。
入社直後から辞める?
直後の上司との面談では
「君は直ぐに中国に行くから、いつでも行けるように準備して!」
と言われ、韓国ではなく中国駐在に向けて準備をすることになりました。
1990年代初期の中国です。
メールもインターネットもない時代、食事や住環境も現在では考えられないくらいのひどい環境でした。
第一志望の企業には入れたものの、すっかり落ち込んでいました…
「直ぐ中国」と言われたショックのあまり、最初の挨拶で
「直ぐに居なくなりますが、よろしくお願いします」
と言ってしまいました。
この発言により「あの子、もう辞めるのかしら?」と心配されたそうです(笑)